助産師は出産に携わるだけじゃない

看護学生時代、小児看護実習で受持たせて頂いた患児のお母さんから手術に踏み切った気持ちを伺う機会がありました。その時『お母さんの我が子に対する愛情ってきっと私の想像を超える深さなんだ!みんなその愛情を受けて生きているんだ!お母さんってすごい!』と子を想う気持ちに感銘を受け、親子の始まりをサポートしたいと強く感じました。それから興味を持って更に調べていくと、助産師という職業の魅力にますます惹かれていきました。
実際に働いてみると助産師という仕事は、看護学生の時の私が想像していたものより遥かに責任が重く感じました。時には自分の能力の不甲斐なさから悔しい思いをしたり、お母さんと一緒になって悲しくなったり辛い気持ちを抱くこともあります。一方で命の誕生や、入院中に育児が上手になっていくお母さんと喜びを共有できる、幸せを感じることの多い職業だと思っています。女性の一生を支えることができる助産師という職業は魅力的で、学び続ける姿勢があればどんどんスキルアップできるため、選んでよかったと感じています。

メリハリのある日常

初めて専門職として働くと考えたときに、院内での研修制度が整っていることがとても心強く感じました。一つ一つの研修で、自分自身の振返りや成長を確認することができ、目標を明確にして日々の看護で生かすというサイクルを経て、少しずつ自信を積み重ねていくことができたと感じています。実際に就職すると、病棟勤務は緊張の連続です。そんな中、研修で久しぶりに同期と顔を合わすと緊張感から解放され、また他の病棟で頑張っている話を聞いて『私も頑張らないと』と気持ちを新たにできる機会になっていました。

知識や技術よりも大切なことがある

私は産婦人科病棟で働いています。助産師のケアの特徴のひとつは、お母さんの身体に触れる機会が多いことです。妊婦さんのお腹に触れ、分娩中の身体をさすり、産後は授乳のケアをします。タッチングしながら信頼関係を築いていくことで、より細やかで親子にあったケアができると信じています。身体だけでなく心や社会的な面でも変化の大きい妊産褥期は、私たちの言葉ひとつで勇気づけることも、自信をもってもらうこともでき、知識や技術だけでなくコミュニケーション力が大切で、日々学びの毎日です。
現在は外来と病棟の一元化を目指し、妊産褥期を通して外来で話したことのある助産師が病棟にもいる安心感を、お母さんや家族が感じられるよう繋がりを意識して看護を行っています。時々、入院後に面識があることに気付いて声を掛けてきて頂けるお母さんもいて、そういった繋がりを感じる機会になっています。

克服できない課題は与えられない

助産師になって経験した多くのことは、全て私自身に与えられた課題であったと考えています。これからは臨地実習や後輩の教育活動を通して一緒に看護や助産の学びを深め、成長していきたいと考えています。お母さんや赤ちゃん、そして一緒に働くスタッフの存在が、私に成長のきっかけを与えてくれます。人との関わりを大切に真摯に向きあうことで、お母さんたちに寄り添い、支えていける助産師に成長していきたいです。

メンター・クリニカルコーチを経験し、現在は臨床指導者として、学生指導に携わっている。